ハスラーの走行性能。山道やオフロードを走るのは無謀?

ハスラーの走行性能。山道やオフロードを走るのは無謀?

軽自動車SUVの「スズキ・ハスラー」。しかしそのプラットフォームはワゴンR。はたしてこれでSUVとして悪路を走ってもよい物か…ハスラーで悪路を走ると言う事はどういうことなのか。ハスラーの走りを考察する。

悪路で動けなくなるスタックとは

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出典:s40133951.sj-fukuoka.jp

悪路に強い車とはどんなものか。真っ先に思い浮かぶのが四駆。すなわち4WDです。ですが、ただ4WDであればいいと言うわけでもないんです。

身近な悪路である雪道で起きる事といえばスタックです。スタックというのは単純にタイヤの駆動力が伝わらない状態です。タイヤが宙に浮けば当然伝わりませんし、例え接地していたとしてもその地面が雪の場合はその場でスリップして動けない…この様な状態を言います。どんなクルマでも雪の上に乗り上げてしまい、4つのタイヤ全てが浮いてしまえば動けません。ジャッキアップされた俗に言う「亀の子」状態です。

では、1つのタイヤがグリップしてない…こんな時は4WDなら残りの3つで脱出…とはなりません。なぜなら自動車の駆動力はエンジン・ミッションと伝えられタイヤに伝わる…その前にデファレンシャルに伝えられるからです。デファレンシャルは前後左右の内輪差を等を打ち消す物です。旋回中のタイヤが内側と外側で同じ回転数ではスムーズに曲がれない…ということで着けられるのですが、これがあるが故にエンジンの駆動力はグリップ力がゼロのスリップしているタイヤに全て伝わってしまい、スリップしているタイヤが延々と空転…なんてことが起きるのです。ちなみにこうならないように手を加えられたのがリミデット・スリップ・デフ略称LSDという物です。このタイプであればグリップしている3つのタイヤに駆動力が働き脱出…という可能性が出てきます。

ハスラーの車体設計はどうなのか

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出典:xn--j-jeuvcb4a0gxiwf.blog.so-net.ne.jp

ハスラーには2WDと4WDがありますが、どちらにしても悪路に強い形でなければそれらも無用の長物です。完全に雪等に乗り上げてしまって4輪とも浮いてしまった…こんな場合は4WDもLSDもあったものではありません。
その様な状態にならないためには…最低地上高がある程度高ければよいのです。ハスラーは4WDで175mmです。同社のジムニーの200mmと比べると少し低い…とはいえ同じプラットフォームであるワゴンR等は150mm程度です。このクラスでは高いほうでしょう。前後のタイヤ接地点からバンパーを結んだときの地面との角度。「アプローチ(前)およびデパーチャ(後)アングル」ですが、アプローチが28度、デパーチャが46度となってます。この数値はバンパーと障害物の干渉具合の指標です。ジムニーは前後がそれぞれ49度・50度となってます。ジムニーと比べると角度的には浅いです。

この様にジムニーと比較してしまうと「数値的にはジムニーよりも悪路に対して弱い」と言うしかありません。が、この様な数値をメーカーが公表してること自体が少なく、公表しているスズキとしては「ジムニー程ではないにしても悪路には強いんだ」という意思の現われだとおもいます。

悪路を突き進むならば

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出典:padokku.com

あえて過酷なほどの悪路を走るクロスカントリー競技の車両としてはジムニーに劣る面があります。しかし、この様な場所で使用されるジムニーというのもカスタマイズされていることが多く、そもそも普通のハスラーで行こうという考えには至らないのでは?ハスラーで参加するのであればリフトアップやサスペンションにデフ…どちらにしてもジムニーと同様に手を加えてなければその分悪路に対する限界も低くなるのは同じ事です。

では「そこまでいない。走る悪路と言えば雪道。あとは山道のちょっとした未舗装路ぐらい」と言う場合は?そこにはスズキが軽自動車として始めて搭載したグリップコントロール等を使いましょう。これはLSDのようにスリップしたタイヤへの駆動力を制御して、グリップしているタイヤへと駆動力を伝達するためのシステムです。雪道での発進時等に役立つはずです。

しかし、どちらにおいても悪路を走るのであれば事前の準備が必要です。「クロスカントリーするならカスタマイズ」とするのであれば「雪道を走るときはスタッドレスタイヤ」ということです。悪路と言う危険に対して、事前の心構えもなく・準備を怠り・目の前の状況に何も考えず・ただ突き進む…ハスラーであるか否かに関わらず、その様な行いを無謀というのです。その様な行いをハスラー自身はしません。全てドライバーの行いです。それを理解出来ないのであればどんな車種であっても運転席に座る資格はないのです。

アイキャッチ出典:minkara.carview.co.jp